GA4 のキーイベント(旧コンバージョン)で個人開発が見るべき 3 つの指標
個人開発者が GA4 で最初に設定する 3 つのイベント を通してイベントを取れるようになると、ダッシュボードに数字が並び始めます。けれど、すぐに次の壁が来ます ── 「全部のイベントが等価値に見える」 という壁です。page_view も scroll も sign_up も、同じ「イベント数」のカラムに並んでしまう。本当に追いたいのは登録と購入だけなのに、ノイズに埋もれて見えない。
GA4 はこれを解消するための仕組みを内蔵していて、それが キーイベント(Key Event)です。重要なイベントだけを「キーイベント」としてマークすると、レポートで別カウントになり、「サインアップ数」「購入数」が独立した数字として読めるようになります。
ただ、2024 年 3 月に Google がこの仕組みの 名前を変えました。これまで「コンバージョン」と呼ばれていたものが「キーイベント」に。本記事では、この変更の意味と、個人開発者が最初にキーイベントとして立てるべき 3 つの指標を、設定手順とレポートの見方まで通します。
キーイベントとコンバージョンの違い(2024 年の改名)
なぜ名前を変えたのか、ひと言で言えば 「Google Ads のコンバージョンとの混同を避けるため」 です。
2024 年 3 月以前は、GA4 でも Google Ads でも「コンバージョン」という同じ名前の指標がありました。けれど 2 つは 計測ロジックが違い、同じユーザー行動を「コンバージョン」に設定しても、両方の数字がズレる ── というのが日常的に起きていました。
2024 年 3 月の改名で、整理がつきました。
| 用語 | 何を指すか | 使う場面 |
|---|---|---|
| キーイベント(Key Event) | サイトにとって重要な行動として マークしたイベント | GA4 全般(オーガニック・SNS・直接流入を含む) |
| コンバージョン(Conversion) | 上記キーイベントのうち、Google Ads 流入のもの | 広告キャンペーンの最適化・入札戦略 |
つまり「コンバージョンはキーイベントの部分集合」になりました。個人開発者で Google Ads を回していない場合、普段気にするべきは「キーイベント」の方です。
既存のコンバージョン設定は自動でキーイベントに移行しているので、移行作業は要りません。読み替えだけ。
個人開発者が最初に立てる 3 つのキーイベント
すべてのイベントをキーイベントにする必要はありません。ノイズに戻ってしまいます。個人開発の本番運用で 最初に立てるべきは 3 つです。
1. sign_up ── 獲得の入口
サインアップ(または無料トライアル開始)は、サイトに来た人がユーザーに変わる瞬間です。これをキーイベントにしないと、「アクセスが伸びているのに、ユーザーが増えているか分からない」状態が続きます。
sign_up は GA4 の推奨イベントのうちの 1 つで、すでに 前の記事 で「最初に設定する 3 つのイベント」の 1 つとして紹介しました。送る側のコードは同じで、送れたイベントを「キーイベント」としてマークするだけで、レポート上の扱いが変わります。
2. purchase or subscribe ── 収益の入口
有料プランがある個人サービスなら、課金が走った瞬間を取ります。
- 買い切り型:
purchase(推奨イベント)。valueとcurrencyを一緒に送ると、収益も集計されます。 - サブスク型:
subscribeか、カスタムでstart_trial/convert_to_paidなどを定義。
無料サービスでも、「Pro 申し込みフォーム送信」「カレンダー予約完了」のような 収益に直結する行動があれば、それをキーイベントにします。サインアップとの違いは、「金銭的価値が動く点」 ── ここを別軸で追えるようにしておくと、A/B テストや LP の効き目が初めて測れます。
3. アクティベーション(プロダクト固有)
3 つ目は、サインアップから **「ユーザーがプロダクトを実際に使い始めた」**と言える瞬間です。これはプロダクトによって違うので、カスタムイベントとして自分で定義します。
例:
- メモアプリ →
first_note_created(初回メモ作成) - 動画ツール →
first_export(初回書き出し) - 集計サービス →
first_dashboard_viewed(初回ダッシュボード閲覧)
なぜこれが大事かと言うと、サインアップしたが何もせず去るユーザーを、サインアップ数字だけ追っていると見落とすからです。「サインアップ 100 → アクティベーション 12」と「サインアップ 100 → アクティベーション 78」では、サービスの状態がまったく違う。LP の改善で前者が改善されても、プロダクトが入りづらいままなら、後者の比率は動きません。
3 つ目の指標として LTV を見る前に、必ずアクティベーションを ── これが GA4 で個人開発が見るべき指標の優先順位です。
設定手順:3 つのキーイベントを 3 分で立てる
GA4 ダッシュ → 管理(左下の歯車)→ プロパティ列の 「イベント」 を開きます。
すでに送られているイベントの一覧が表示されているはずです(送られたことのないイベントは出ません)。各行の右側に 「キーイベントとしてマーク」 のトグルがあります。これを ON にするだけで、そのイベントはキーイベントになります。
イベント名 発生数(過去 28 日) キーイベントとしてマーク
page_view 12,341 OFF
sign_up 87 ON ← 立てる
scroll 8,912 OFF
purchase 12 ON ← 立てる
first_note_created 54 ON ← 立てる(カスタム)
送られていないイベントを 事前に登録 したい場合は、画面右上の「新しいキーイベント」から名前だけ登録できます。後でそのイベント名でデータが届いた時点で、キーイベントとして自動カウントが始まります。
設定後、レポートへの反映は 数時間〜翌日。即座には数字が動きません。
レポートでの見方
キーイベントを設定したら、3 つの場所で別カウントの数字が見られるようになります。
1. レポート → エンゲージメント → キーイベント
3 つのキーイベントが、それぞれ独立した行で並びます。「sign_up が今週 87、purchase が 12、first_note_created が 54」── ここで サインアップ → アクティベーション → 購入 のファネルが、合計 3 行で立ち上がります。
2. 探索(旧:データ探索)→ ファネルデータ探索
「page_view(LP 到達)→ sign_up → first_note_created → purchase」のように、順序付きの脱落率が可視化できます。LP に対して「どのステップで一番落ちているか」が、これで初めて分解できます。
3. 流入チャネル × キーイベント
レポート → 集客 → ユーザー獲得で、「どの流入経路からのユーザーが、キーイベントに到達しているか」が見えます。たとえば「Twitter からは 100 訪問・サインアップ 0、検索からは 30 訪問・サインアップ 4」のような分解で、SNS 集客と SEO 集客のどちらが質的に効いているかが、合計数字ではなく キーイベント到達数で読めるようになります。
これは Search Console との連携 と合わせると、検索クエリ別のキーイベント到達率まで降りられます。
挫折ポイント
- 「キーイベント」と「コンバージョン」を混同する:GA4 内では「キーイベント」、Google Ads 連携時のみ「コンバージョン」。広告を回していないなら、ほぼ常にキーイベントの方を見る。
- イベントを送らないうちにマークしようとする:送られたことのないイベントは「イベント」一覧に出ません。先に 1 回送ってから設定するか、画面右上の「新しいキーイベント」で名前だけ事前登録する。
- 何でもかんでもキーイベントにする:
page_viewやscrollをキーイベントにすると、レポートの数字が日常的な閲覧で膨らみ、本当に重要な行動が埋もれます。3 〜 5 個までで抑えるのが現実的。 - アクティベーションを定義しない:サインアップ数だけ追っていると、「サインアップしたが使っていない」ユーザーが見えません。プロダクトごとに「使い始めた」と言える瞬間を 1 つだけ決める。
valueを送らない:購入系のキーイベントは、valueとcurrencyを送らないと収益が集計されません。purchaseを送るときは、必ずvalue: 1000, currency: 'JPY'のようにセット。- 設定の反映は即時ではない:マークした直後にレポートを見ても、数字は動きません。数時間〜翌日待つ。リアルタイム → イベントなら、その日のうちに「キーイベント到達」のフラグが付くのが見えます。
- Google Ads と数字がずれる:仕様です。GA4 のキーイベントは「サイト視点(最後の接触なら GA4 デフォルト)」、Google Ads のコンバージョンは「広告視点(広告クリック後 30 日以内など)」で計測モデルが違うため、両者は 目的が違う数字として読みます。
まとめ:3 つのキーイベントで、ファネルが初めて読める
最小手順を振り返ります。
- 推奨イベント
sign_upを送る → キーイベントとしてマーク - 推奨イベント
purchase(またはsubscribe)を送る → キーイベントとしてマーク。value+currencyを必ず付ける - プロダクト固有の アクティベーション(
first_note_createdのような)を定義 → 送る → キーイベントとしてマーク - レポート → エンゲージメント → キーイベント、で 3 つの数字を並べて見る
- 探索 → ファネルデータ探索、で順序付き脱落率を可視化
ここまで揃った時点で、個人開発のサイトは 「アクセス数」から「ファネル」に視点が切り替わります。LP の効き目・SNS 集客の質・プロダクトの入り込みやすさが、それぞれ別の数字として読めるようになる。「見えれば、直せる」 ── どこを直せばいいかが、初めて根拠つきで決まります。
姉妹記事として、計測の入口は GA4 で最初に設定する 3 つのイベント、数字の読み方は GA4 で最初に見る 3 つの数字、検索流入の入り口は Search Console で最初に見る 3 つの画面 にまとめています。本記事を含めて、個人開発のアクセス解析クラスタ 4 本として並べて読めます。
GA4 のダッシュで「キーイベントとしてマーク」のトグルを 3 つ ON にするところから。
数字は読めるようになった、ファネルも追える。けれど その手前で読まれない/登録に至らない ── そのときに直すのは、計測の精度でも文章の熱量でもなく、1 行ごとの順序です。WHY → HOW を 1 冊にまとめたのが、下記の本です。個人開発者・インディー Web 作者・動画作者向けに、LP・短文・メールの戦場別の書き方と、Claude を実際に使ったプロンプト連鎖の実演を含めて統合しています。